チーム寺子屋 
石見ライド02 1日目
 2007.5.19 
 石見ライド。今年で2回目のこの大会。島根県西部を二日間にわたって300km走破するという日本でも有数のグランフォンド(イタリア語で大きく移動するという意味の大衆マラソン型イベント)である。私にとってもこのイベントは相当インパクトのあるものである。というのも、昨年の大会では、パンクが何度も何度も起こり、リタイヤを決意するほどの壮絶な経験をしたということがある。また、1日目は、最後から2番目、制限時間に10分も遅れてゴールするという屈辱的な結果も、このイベントを私の記憶にしっかりと刻み込むこととなった。そして、忘れてはならないのは、昨年の大会では広島県から参加されたOさんがこのイベント中に橋から落ちる事故でなくなられたという深い悲しみを経験した大会でもある。
 今年は、学校が変わったため、日程があうかどうか不安だったが、なんとか無事この二日間は都合がついて、2日間とも参加できることとなった。

 お隣の浜田市のアクアス(水族館)が集合場所。朝、4時すぎに起きてピナレロを積み込み、車で益田をスタートする。昨年のこの大会は大雨の中での実施だったので、今年は良い天気だといいとずっと思っていた、。前の日の天気予報では曇りということで、安心していた。しかし、朝、車で移動する途中、なんとなく雲行きがあやしくなってきた。まさか・・・・。そのまさかが的中した。広島方面からこられた人(昨年同じホテルに宿泊して顔見知りになったMさんとSさん)からの情報だと、これから走るあたりを車で来たが、大雨だったとのこと。昨年同様、びしょびしょになりながら走るのか・・・とちょっとブルーになる。雨の中だと、パンクが多くなったり、修理が難しくなったりとマイナスの要因が増えるのも事実。とにかく昨年のようにパンクにだけはなってほしくないのだが。
 受付会場に行くと、昨年はなかった、エアーアーチが飾られてあった。これがあると、なんだか華やかで大きなイベントという感じがしてくる。それから、スポンサーのネームが印刷されているボードがあった。サッカーのインタビューの時にバックにあるあれと同じようなボードで、これまたかっこいい。説明によると、このボードをバックに完走の記念撮影をしてほしいとのこと。
 アクアスの前で受付をしたり、荷物を預けたりしていると、ブログやホームページ上で仲良くしていただいている「えこにんさん、仙人さん」と会う。実際に会うのは初めてなのだが、なんだか旧友に会ったようで不思議な気持ちになる。出会いの記念に記念写真を撮る。(写真はえこにんさんから提供していただいたもの)(えこにんさんもし公開がだめならメールください、削除しますので)
 ブリーフィングが7時から始まる。安全に走行ということが今回の第一目的。昨年の事故もあり、ブラインドコーナーのことなど説明があった。その後、Oさんのご冥福を祈り、黙祷をした。

    

 いよいよスタート。7時40分だった。出雲路ワンデイランもそうだったが、サイクリストビューが運営するイベントは5秒時間差スタートだ。これは、速いと思う人から自分の意思で並んでスタートしていくというもので、できるだけ、追い越しを回避し、安全に走行するためのスタート方式である。とは、言ってもなかなか自分の実力は自分ではわからないので、どこにならぼうかいつも迷ってしまうのだが、同じ益田から参加のHさんと一緒に今回はやや前目にならばさせていただいた。
 このイベント自体の目的が速く走る、ということではなく、楽しく完走するというもである。その証拠にタイムの計測もないし、上位入賞というようなものもない。ただ、制限時間があるだけ、という大会だ。スタートにあまりこだわる必要も本当はないのである。
 実を言うと、スタートの差よりも実際に差が出るのは坂。坂をいかに速く上れるかどうかがこういうイベントの制限時間などには大きく影響するのである。

  

 昨年はいきなりの激坂という記憶があったのだが、今回はそうでもなく、割と緩やかな上りという道が続く。ただ、いきなり工事中で未舗装路があったのにはまいった。パンクをするのでは?といやな予感がしたが、なんとか無事通過することができた。その後、ただ、ひたすらロードバイクをこいだ。石見ライドはそれほど参加人数が多くないので、他の人とペースが違うとすぐにソロになる。ソロの時は、本当にこの道でいいのか?とものすごく不安になるのだが、前回分かりにくかった幟だけでなく、今回は幟プラス路面に方向のペイントがされてあり、分かりやすかった。ピナレロの威力か、割りと前の人を抜いて行きながら進む。
 ところどころ、高い橋が見える。高速道路である。

        

 私の住んでいるところは益田で、益田も石見地方である。そして、このイベントは石見ライドという名前がついているので、当然地元と思われるかもしれないが、実は、このイベント全く益田市を通過しないのだ。そして、私にとって初めて通るような道ばかりなので県外の人から見れば地元なのだが、実際は県外の人とほとんど同じぐらいの感覚だったのだ。ロードバイクに乗っているときには地図も見ることができず、走っている最中、どこら辺を走っているのかというイメージが全くと言って良いほど無かった。本当に道路の目印と幟だけがたよりの、たよりない走行だったのである。
 最初のエイドステーションは21キロ地点の久佐公民館。今回の2日間ずっとこうだったが、チェックだけして、ほとんど休まずにスタートした。昨年のビリから2番目というのが、トラウマのようになって、ちょっとでも先に進もうという意識が働いたのだ。
 後で、写真を見て名前が分かったのだが、「雲月トンネル」に差し掛かる。このトンネル、全く照明がなく暗闇の空間が広がっていた。ただ、出口の明るい部分だけをたよりにして進む。ロードバイクについているライトを点灯するけれど、あまりたよりにならず、途中平衡感覚がおかしくなりそうだった。

   

 そんなこんなで、雨の降る中をがむしゃらに走る。でも、時々、自分どりなども忘れない。これが、結構難しいのだ。(割りと良い感じで撮れているでしょ)
 10時25分ごろ、65キロ地点のエイドステーション道の駅瑞穂に到着する。順位の公表はないのであるが、チェックポイントにサインをするシステムになっているので、そのサインの数を数えると、自分の順位が分かるのだ。ここで、ちょっとその人数を数えてみると、なんと、16番目。これには少々びっくりした。昨年のことを思うと大躍進だ。その順位に気をよくして、さらに先へ進む。

  

 戸河内峠というところ(石見ライドの地図を見ながら書いているので、実際に走行するときはそんな場所の名前を意識してない、ただひたすらすすんでいた)この坂も結構きつく、なかなかハードだった。江の川沿いの道を進む。こういう道を行くのは気持ちいい。ただ、坂を上りきった後の達成感もすごくいい。上る最中はすごく苦しいのだけれど・・・。本当に自分でも不思議な感覚だ。

  

  

 112キロ地点のグリーンロード大和のエイドステーションへ到着。12時29分。ここで順位をチェックすると、14位。さっきよりも2位ほど上がっているではないか!よしっ、気合が入る。
 ここは、昼食をとることになっているところで、本来なら少しゆっくりする場所のはずだが、気合が入った私の気持ちはとにかく先へ進め!だった。給食で鍛えた早食いを最大限生かし、5分ぐらいでおにぎりを完食し、すぐにスタートをきる。昨年は、昼食時にゆっくりしすぎて後で痛い目にあったので、今年はすぐに出発作戦で押し進む。

   

 川沿いの道はそれほど苦しくもなく、進む。ただ、昨年パンクした浜原ダムが近づくにつれ、どきどきし始めた。今年ももし、あのがたがた道でパンクでもしたら・・・・ああ〜悪夢が私の頭の中をぐるぐると回っていた。いよいよ小石がごろごろの小道に差し掛かる。細心の注意を払い、小石をよけながら、進む。ごつごつ感がある度に、タイヤを確認する。昨年、道のがたがただとばかり思っていて、パンクに気がつくのが遅くなり、タイヤに石が刺さってしまったので、今年は、パンクしたらすぐにチューブの交換をしようと考えていたのだ。やはり、ここの道は本当に走りにくかった。
 思い出の浜原ダム。そうそう、ここの辺りで、パンクの修理をしたなあ〜などと、そこを通過しながら思った。それでも、なんとか、無事パンクをせずにこの道を通過して、次のエイドステーションの浜原駅に到着。13時22分。順位はなんと、10位になっていた。こうなると、人は欲が出てくるものだ。10位以内を目指したいと思うようになった。再び、エイドステーションにあったバナナなどを口にして、すぐスタート。

   

   

 しかし、その後、1日目最大のピンチに見舞われることになる。昨年は三瓶はパンクで苦労した思い出だけで、それほどの激坂というイメージはなかったのだが、今年はコースが変わったこともあったのだろう、想像を絶する激坂が長く長く続いていた。13キロぐらいずっと上りだったように記憶している。昨年もやったのだが、足のマッサージがてら、手で足をおさえることで足で踏み込むときの補助的な役割をして、少しでも足を休める走法を多様した。それでも、最後の上りではもうどうしようもないくらい足にきていて、痙攣寸前だった。恥ずかしながら、ジグザグ走行をすることで、痙攣をなんとかおさえ、前へ進む。ダンシング走法をしようと思ったが、遅すぎた。しようと姿勢を変えたとたん、足に痙攣がきそうになる。ダンシング走法も使えない。そんな走りをしていたのではやはり、10位以内は難しい。数名に抜かされこの激坂を進む。そして、ついに足がぴくぴくと・・・・・このまま前へ進むのは無理と判断して、いったん足をつく。道端で、ストレッチなどをして、足のぴくぴくがおさまるのを待った。そして、なんとか、この坂をクリアする。やった〜これで、後は下りだ〜と喜んだのもつかの間、再び坂。それも結構な激坂。それが何度か繰り返され、東の原へ差し掛かる。あれ?スキー場。行き止まりだ。そう、道を間違えてしまったのだ。こんな時に相当な精神的ダメージ。再び道をもどり今度こそ、本当の三瓶北の原エイドステーション150キロ地点に到着する。14時50分。それでも順位は12位。まだ、望みはある。激坂を上ってきた記念にスタッフの方と記念写真。ここからはそれほどの坂はなく、ゴールできるとのこと。ほっと一安心。

   

 スタッフの言葉どおり、その後は快適な下りが続く。さっきまでのご褒美だ。三瓶ダムを左手に、風を切って進む。この時間帯になって、やっと青空がのぞき快適なサイクリング日和になる。気持ちいい。

   

  

 そして、ついにゴール。15時30分順位は11位。10位以内には一歩及ばなかったが、昨年のことを思えば、大満足の1日目170キロ完走である。
 ゴールでは豚汁のご馳走。小学生のボランティアスタッフのお子さんだろうと思われるが、小学生低学年ぐらいの女の子がお手伝いをしていた。見ていてとてもほほえましかった。力を出し切った後の豚汁、本当にうまかった。エアーアーチとパネルの前で記念写真。足が相当まいっていたので、この台に上がるのによたよたして、こけそうになった。それでも、このパネルの前で写真を撮るのはなんとも言えず気持ちよかった。170キロを走りきった達成感に浸りながら、芝生の上でしばし休息。益田から来たHさんの到着を待つ。今年はHさんと同じ宿を予約していたので、一緒に行く約束をしていたのだ。

    

 少しして、Hさんが到着。昨年は、スタッフだけで、だれもいなかったゴールだが、今年は続々と参加者が帰ってくる。Hさんの記念撮影をして、一緒に宿へ向かう。
 昨年は宿の場所を書いていた紙がびしょびしょであやうく野宿をするところだったのだが、今年はHさんと一緒なので、そこは安心。水明館である。懇親会の会場である○大海鮮料理も同じところにある。そこの倉庫には、高価なバイクがずらりとならぶ。今日は、ここに宿泊するサイクリスト多数なのだ。雨の中を走ったことがうそのように、良い天気で、夕焼けが綺麗だった。ここは、家族で来てもいいところだなあ〜などと思いながら、夕方の綺麗な時間帯を過ごす。
 また、この宿は大部屋に20人ぐらいが宿泊するという修学旅行のような状態で、懇親会までの時間、同じ趣味の仲間同士、すぐにうちとけ、いろいろと日ごろのロードバイクトレーニングのことや、レースのことなどを話し合う。貴重な体験談もあり、レースのこつも聞け、大部屋というのもなかなかいい。
 懇親会はお腹いっぱいになるぐらい食べた。昨年、ホテルでご一緒したMさんとSさんも懇親会に参加され自転車談義が盛り上がる。三瓶を制限時間以内に登れた自分へのご褒美に新しいロードバイクを買おうとしているSさんの生き生きした顔が印象的だった。
 懇親会も自然解散のような形で、眠たくなった者から大部屋へ入っていく。私もそろそろ休もうと思い大部屋へ行くと、すでに暗くしてあり、何人も熟睡状態になっていた。そうだった、明日も130キロ走るんだったと思い、私も波の音をバックにすぐに眠りについた。しかし、20人もの大の大人の集団であるが、なんとお行儀のいい人々なのだろう。部屋の外でお話をし、部屋に入ったら静かに眠るということが徹底されている感じで、20人いるという感じを全くうけずに朝まで熟睡することができた。

   

  

1日目のデータ(サイクルコンピュータによる)
  走行距離  167.98km
  平均速度  22.4km/h
  実走行時間 7時間29分45秒
  最高心拍数 194・・・・・・すごすぎる・・・さすが大会。
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