『臼杵〜延岡』
2007.2.24
 前回、2004年の3月にここ臼杵に来てからもう3年がたとうとしていることに少々驚きを感じる。その時以来の臼杵である。今日の目標は、できるだけ南下するということなのだが、前回、時間の関係で見ることができなかった、国宝の石仏だけは見に行きたいと思っていた。『つぎはぎ日本一周』は日本一周が目的なのだけれども、そのところどころの名所旧跡などにできるだけ寄って、日本をのんびり見てみたいという思いも強いのだ。石仏まで行くのに、町中を通って少し502号線を上っていかなくてはならない。前回いいなあと感じた仁王座歴史の道を再び通る。この町並みはとても雰囲気がいい。

  

 石仏がある場所に到着。思ったより市街地より離れていた。料金所辺りに小川が流れていて、その横に店が立ち並ぶ。ここちいい感じに道が曲がって、その道をぬけるとぱっと開けたところに出る。冬枯れの草木の中に菜の花などがところどころ春の息吹を感じさせる。石仏の里は現代ではなく、昔にいるそんな錯覚を覚えた。

  

 ヒノキだろうか、立派な木が立ち並ぶその中に道が続いている。そこにお香があった。そのお香を体に浴びる。最初の石仏のある社に向かう。ここに来るまでは、あの有名な頭部が下におちた石仏だけだと思い込んできたのだが、大きく3箇所に石仏があり、どれも結構立派なものだった。頭部が取れたことで仏様にとっては災難だったと思うのだが、普通のままだと、ここまで有名にはならなかったのでは?と思われる。不運を幸運に換える仏様と言えるのかもしれない。現在は元にもどされ、きちんと頭は胴体の上にあり、国宝となっている。

   

    

 順路を進むと最後の社に、あの石仏があった。他の石仏もよかったのだが、さすがにこの石仏は存在感がある。横に頭部が取れていたころの写真もあったが、このころの雰囲気もまたいい。

    

 梅の花と菜の花が咲いていて、その後ろに社があり色のバランスがとても素敵だった。

 津久見に向かうために、この石仏の里を離れた。再び現代にもどる、そんな感覚になる。
 国道217号線に入り、坂を上る。この先に長いトンネルが待っている。狭い道はそれほどでもないが、何度通っても歩道がほとんどないトンネルは恐怖感がある。この新臼津トンネルも歩道がほとんどないトンネルだ。トンネルの入り口に歩行者のことをほとんど無視した植木があった。何の意図があって、これだけじゃまなものを植えるのか?と理解に苦しみながら進む。
 津久見の町に入り、少しいくと、大きな湾があり、向こう側に立派な野球場が見えてきた。そういわれてみると津久見といえば、以前甲子園で優勝したことがあるような・・・。その湾沿いの道をぐるっと回って、今度は野球場を見下ろすような形で道を上っていく。

  

 津井越をとおり、下っていくと、暁嵐(ぎょうらん)の滝という看板が見えた。事前に地図でチャックしていたわけではないが、休憩がてら、ちょっと寄ってみることにした。これが正解!この滝は15メートルぐらいではあるが、なんともいい感じの滝で、その周りの雰囲気や、滝そばにある1288年創建の古社「瀧三柱神社」などもとても素敵だった。この周りには1キロほどの遊歩道があるようで、神社にお参りをしていると、その遊歩道を歩いてきたというご夫婦に出会った。  「綺麗でしたよ〜」ということで、少しの時間お話をした。その方たちは延岡からこられたということで、私が自転車で「つぎはぎ日本一周」をしているということに興味を示してくださったりもした。

    

 綺麗な場所を眺めるというのは、本当に心が癒される。それでも、いつまでも、ここにいるわけにはいかず、佐伯に向かって217号線を南下していく。昼になったので、どこか食堂に入ろうと思ったのだが、なかなかいいところが見当たらず、スーパーで弁当を購入。どこかいいところで、遠足のような感じで食べようと思ったのだ。そのスーパーの横にはパワーショベルなどの工業用の車のスクラップ置き場があった。工業用の車だけ、というのがなんだか不思議で印象に残った。

   

 弁当袋を手に引っ掛けながら進むと、佐伯駅が見えてきた。ここまで来ると、食堂も多い。まあ、こんなもんだ。
 少し行ったところに弁当が食べれそうなベンチがあったのでそこで食べた。暖かいスープか何かほしいところだが、まあ仕方がない。それでも、今年の冬は暖かいので外で食べてもそれほど大変さは感じなかった。

  

 佐伯からどう進もうか悩んだ。388号線を進み、浦江を通る海岸沿いのルートにするか、10号線を進み延岡へ行くルートにするか・・・・。気持ちとしては、海岸線を通りたかったのだが、電車の時間のこともあるし、388号線ルートは鉄道からそれるので、途中で時間になっても電車に乗るということができないのだ。その点10号線ルートは鉄道沿いなので、時間になったら最寄の駅で帰ることができるのだ。
 悩んだ末、帰れなくなってはまずいので、国道10号線を通ることにした。
 佐伯駅の近くには道100選に選ばれたという道があると案内板に書いてあったのでそれらしき道を探しながら進む。たしかに、いい感じの道があり、その横の川にはのどかに鴨が浮かんでいた。この道沿いには国木田独歩ゆかりの家が資料館になっている建物もあった。

  

 国道10号線は山の中を走る道だ。だらだらとした上りを進む。乗用車のドライバーの居眠り防止のためだとは思うが、このあたりは白線にでこぼこになるように加工がしてある。車のドライバーにはいいだろうが、自転車にとっては、このでこぼこ・・・ちょうど走るところに重なるので、この上をよく通ることになる。自転車でこの上を通るのはとても運転しずらいし、危険な感じもした。
 山道というのは、それほど景色は変わらない。そういうときは無心になって上る。それでも、時々はメーターに目をやったりすると、ぞろ目になったり、意味のある数字なったりするとうれしいものだ。今日の走行距離がちょうど67.89キロをさした。記念撮影。

   

 また、自動車で運転しているときには全く気がつかなかったものに自転車だと気がついたりする。1kmおきに門司から何キロあるかを示す立派な標識があり、100メートルおきにも、小さな標識がある。これがずっと続いているのである。

 

 峠を越え、宗太郎という面白い地名あたりだったと思うが、坂を下っていると、道の横のちょっとした広場に車が停まっていて、こちらに向かって手をふっているではないか。こんなところに知り合いがいるはずはないと不思議に思っていると、なんと、曉嵐の滝でであったご夫妻だった。ロードバイクを止め、そこに行ってみると、本日2回目の出会いなのだが、昔からの友人のような親しみを感じた。延岡に向かって帰る途中、ロードバイクの私の姿が見え、ここで待っていたということだった。ありがたいことだ。旅の途中で1度会話をするということはよくあることだが、こうして、2回出会い、お話ができるというのはそうそう無い。ご夫婦も私のことを昔からの友人のように迎え入れてくださり、何と、激励としてパンまで下さったのだ。感謝である。この出会いに感謝して記念写真を撮った。(HPに掲載する許可をとるのを忘れたのでサムネイルだけ)

 

 その後、川沿いの道をずっと下っていき、ついに、宮崎県に入る。今、何かと話題の宮崎県。鳥インフルエンザしかり、そのまんま東氏しかり・・・。私自身も宮崎に足を踏み入れるのは初めてだ。
 この道の横を流れる川がとても素敵だった。何という川だろうと、あとで調べると、小川という川らしい。これだけ立派な川なのになぜ?特に線路と平行して流れているところが気に入った。これで、列車でも通れば言うことはなかったのだが、そこまで話はうかくは行かなかった。沈下橋もあったりで、美しい景色に癒されながら道を進む。

   

   

 まるで2月ではないような陽気の中、本日の目的地である延岡に到着。いつものように、ロードバイクを分解して輪行バックに入れる。列車の中は予想以上にすいていて、大きなこの袋を持って入っても全然気兼ねがいらなかった。
 この列車の中でメモ帳を取り出し、今日、一日の旅を振り返ってどんなことがあったか、どんなことを感じたか、などをデジカメを見ながら記録する。こうして振り返るものとても楽しい。また、旅の疲れからうとうとするのだが、これもとても好きな時間だ。

  

 2007年の1回目の『つぎはぎ日本一周』気持ちよく終了。次回はいつ?どこへ?
走行距離 111.99キロ
平均速度  21.6キロ
最高速度  57.5キロ
費用 臼杵石仏観覧料530円
    帰り鉄道代 延岡〜臼杵 1600円   

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