『今治〜伊予』
2006.12.3
 8月以来の久々の『つぎはぎ日本一周』。つれあいに無理を言って行かせてもらった。感謝、感謝である。日曜日であるが、昨日しっかり社会貢献したご褒美(体操大会の運営)として、まあばちはあたらんだろう。 
 今回は、日帰りという強行日程のため、続きの中で、一番近いところ今治から松山方面へ向かうことにした。朝、4時ごろには起きて出発したかったのだが、さすがに昨日の疲れからか、起きられず、結局5時半に目覚め、それから出発となった。
 最近のトレーニングにはピナレロガリレオを使用しているのだが、『つぎはぎ日本一周』はビアンキで続けることにした。ピナレロはフロントフォークとリアフォークともカーボンなので、横方向に力がかかると多少不安になるし、輪行する場合に変に力がかかると破損するかも、という不安があるからである。その点ビアンキはクロモリなので、少々扱いが荒くても大丈夫、今までの経験からも『つぎはぎ日本一周』にはぴったりのバイクなのだ。
 冬のツーリングは寒さ対策をしっかりしなくては楽しむどころではなくなる。そこで、冬に愛用のユニクロ製のイヤーバンドを準備しようと思ったのだが、久々のため、どこに行ったかわからなくなっていた。それでも、一番寒さがきついのは耳。耳だけはなんとか保温をしなくては、ということで、行く途中にある24時間の激安店に寄った。ここで、イヤーバンドを探したら、なんと79円。さすがに、あまりかっこよくはなかったが、寒さをしのぐには、これで充分。ここで、パンや飲み物なども購入し、運転しながらの朝食。
 朝、早く出たので高速代金は深夜割引になるかな?と期待していたのだが、よく見ると朝4時までに入っていないといけなかた。ということで、普通料金。深夜料金だと30%オフになるので、これは痛かった。
 まだ、出発時点では暗かった空も明るくなってきた。高速とはいえ、今治までは270キロもある。しまなみ海道の橋を次々と渡り、今治へ。ここを通るたびに思うが、高速全線開通のために、島へ落ちていた観光収入が随分と減っただろうなあと他人事ながら心配になる。

   

   

 前回の高松方面へ行った時もそうだが、今回もサンライズ糸山に車を止めて、ここからスタートである。結局スタートできたのは9時半という時間。『つぎはぎ日本一周』のスタートとしては遅く、距離を稼げないので悔やまれる。もうちょっと早く起きたかった〜。
 サンライズ糸山から見る来島海峡大橋はやはりすごい迫力。人間って本当にすごいものを造る。
 寒さ対策として、スタート時の服装は、上はTシャツ、薄手のセーター、サイクルジャージ長袖、ジャージ、ウインドブレーカー(厚手)、下は下着、ヒートテックのインナー、ズボン、ウインドブレーカーというもの。何もしないと、これでも寒いくらいだったが、走り始めてちょっとすると、もう暑くなった。結局、10キロぐらい進んだところでジャージを脱ぎ、厚手のウインドブレーカーから薄手に換え、下もウインドブレーカーを脱いだ。それをリュックに入れて再スタートした。
 少し進むと、ピラミッドのような形のモニュメントが見えてきた。星の浦海浜公園というところらしい。ピラミッドのような形は星をイメージしたものだそうだ。ここでしばし景色を楽しむ。 
 ガリレオを購入してから久々にビアンキに乗ったのだが、ビアンキとガリレオの違いをはっきり感じることができた。まず、振動が結構くる。クロモリは振動を結構吸収するはずなのだが、やはり振動吸収はカーボンが上というのが、乗っていてよくわかった。また、ブレーキに効きがやはり違う。また、ビアンキのフレームはいただいたものなので、サイズがぴったりではないのだろう。やや窮屈な感じがした。そのためか、最近あまり感じていなかった膝の裏に痛みを感じた。その後、ハンドルの角度の調節やサドルの位置を下げたり、角度、高さの調整をしたりしたことで、痛みも感じなくなった。適正なポジションを出すというのがいかに大切かということを身をもって感じた。(下の左から2枚目の写真と一番右の写真でポジションの調節をしたのが分かる)

    

 しまなみ海道も近いせいもあると思われるがロードバイクでトレーニングしている人と何人かすれ違った。どの方もロードバイク仲間という意識ができるのだろう。会釈や声を掛け合いながらすれ違う。ほっと心があたたまる瞬間である。 
 国道196号線を進むと、菊間というところに来た。私の地元島根県も石州瓦の産地として有名なところだが、ここ、菊間も菊間瓦の産地ということだ。石州瓦は赤い瓦だが、菊間の瓦はいぶし銀のような色の瓦。この後行く松山城の瓦としても使われている。700年の歴史があるということだ。そんな菊間の道を通っていて道路が新しいからだろうか、側溝のコンクリートとアスファルトの段差がほとんどなく、綺麗に仕上げていて感心した。普通、目で見る限りではあまり分からない段差でもロードバイクで通ると振動が来るのだが、ここ菊間の道路はほとんど振動がこないほど丁寧な仕事をしていた。感心して思わず写真に撮った。まあ、瓦と道路は関係ないとは思うが・・・・。

  

 国道196号は海沿いであるが、たくさんの釣り人がいた。普段の『つぎはぎ日本一周』は代休に行くことが多かったので、これほど釣りをする人がいなかったのかもしれないが、今日は、結構な数の釣り人がいた。そして、ところどころやはり「漁港は古い町並みが残っている」という法則(勝手につくるな!)どおり、いい雰囲気の建物があった。また、さっきの菊間の側溝と比べるために、普通の側溝も写真に撮った。まあ、新しいか古いかだけの違いなのかもしれないのだが・・・。

  

 さらに進むと、道の駅が見えてきた。そのまま素通りしようかと思っていたら、なにやら自転車の集団が・・・・。その集団の雰囲気に誘われて、道の駅に寄ってしまった。ジオスのロード、ビアンキのロード、BD-1、モールトンなど自転車好きならではの自転車が並んでいた。思わず、声をかけたら、自転車のイベントではないけれど、好きなもの同士が集まってツーリングをしているということだった。それにしても、これだけの仲間がツーリングできるのをうらやましいと思った。さすが、しまなみ海道の近く自転車道なども結構整備されているところだと感じた。また、中には女性の方や高齢の方もおられ、とても楽しそうだった。いいなあ〜こういう雰囲気。と思いながら先へ進んだ。
 川の中に大きな草?が生えていたので、写真に撮っていたら、反対側を見るからに日本一周という格好をした人が通った。風貌から言って相当ベテランそうに見えた。再びこの雰囲気に誘われて反対車線へ行き、声をかけた。なんと、この方、遠くから見たらそうとうお年を召した方かと思ったのだが、近くで見ると若い人だ。聞くと以前は世界のいろいろなところを自転車で旅をしていたそうで、ここ4年ぐらい日本を旅しているということだった。普通は日本を旅してから世界へ目が向きそうなのに、この方は逆というのが面白いなあと感じた。この行動力に感動し、「お体に気をつけてがんばってください!」声援を送った。写真を撮ること、ホームページに載せることも快諾してくださった。雰囲気からしてテントか何かで野宿をしながら旅をしているという感じだ。すごい!
 一人旅のこの『つぎはぎ日本一周』をするようになって、気になった方に声をかけることにあまり抵抗を感じなくなっている、いや、こうした出会いを楽しんでいる自分がいる。

   

 四国は八十八ヶ所霊場巡りの地。ところどころ札所がある。伊予北条という町にも花遍路の町という看板があった。そこの港を見ると、なかなかいい感じのところだ。潮の干満の差が大きいからだろう。日本海側の漁港には見られない、階段状の岸壁があった。この4月に言った鞆の浦の港もこれと同じ形状だった。

   

 この港の奥に大きな鳥居があった。その先を見ると鹿島という島があり、渡船が出ているようだった。また、近くに夫婦岩のような形の島もあった。

 

 今治街道を南下し、松山市へ入っていく。最初に向かうのはやはり道後温泉。道後温泉は、日本書紀にも登場しているということで、文献上では日本一歴史のある温泉ということだ。また、これだけの立派な建物は、反対運動にもかかわらず、道後湯之町初代町長の伊佐庭如矢が100年先にもまねできないような立派なものを!という信念で明治27年に建てたそうだが、110年以上もたった今でも堂々とした道後温泉のシンボルとなっている。彼の信念は本物だったということだろう。
 以前寺子屋のツーリング時に道後温泉には入ったので、今回は入らずに先へ進むことにした。

 

 道後温泉駅の前にある放生園、そこに足湯がある。温泉には入らなかったが、この足湯は無料ということもあり、足を温めることにした。以前、『つぎはぎ日本一周』で平戸に行ったときにも足湯に入ったが、その時は真夏。あまりありがたさを感じなかった記憶があるが、今回は、寒い中での足湯でとてもありがたかった。

  

 道後公園にも行ったが、ここの木々の紅葉は終わりかけ、もう少し早い時期だと、とても綺麗だろうと思った。この公園内にある子規記念博物館にも入った。

  

 時間的にはあまり余裕はなかったのであるが、それでも興味深い展示物で1時間近くもいた。ビデオでの子規の紹介のコーナーなどもあり、充実していた。
 そして、松山ではもうひとつ行っておかなくてはならない場所がある。それは、松山城。『つぎはぎ日本一周』ではその土地の城を巡るのは定番になっている。以前来たときにはロープーウェイを使って城まで登ったのだが、今回は、せっかくロードバイクで来ているので、ヒルクライムのつもりで、挑戦することにした。すると、いきなりの激坂。それでも、なんとか根性で登っていると、車止めの先に更に厳しい坂が出現。もうだめだ〜と思っていたら、係員の方に止められた。「ここから先は自転車は登れません。徒歩でお願いします。」とのこと。折角ここまで登ってきたのに最後まで行きたかった、という気持ちと、助かった〜という気持ちがあった。ヒルクライムに挑戦しているのに足をついて押して上がるのだけはさけたいというプライドがあり、目の前の激坂を登りきるのはちょっと自信がなかったのだ。でも、係員に止められたのでは仕方がない。そこにロードバイクに鍵をかけて置いて、歩いて上がることにした。
 歩きながら、徒歩で正解と思えてきた。予想以上にきつい坂が結構続いていた。それに、段差は少ないが石段のようになっていてロードバイクは乗りにくかっただろうと思う。

    

 本丸のある広場まで来た。さすがに日曜日。何かのイベントをしていた。どうも、改修工事が終わったお祝いのようだった。菊間瓦を新しく敷き代えたようだ。前回寺子屋で来た時には本丸には工事用の囲いがしてあったのだが、今回はそれもとれ、本来の松山城の姿があった。中に入ったが、階段の急なこと・・・。これは階段というより梯子と言った方がいいのでは?という感じだった。天守閣最上部からの眺めは最高だった。城自体も高いところにあるので、松山の町を一望できる。当時のお殿様もここから城下町の景色を眺めたのだろう。

    

   

 天守閣から降りて、再び広場に出ると、なにやら変わった格好の集団が・・・。よく見るとコスプレの集団。どこかで見たようなキャラクターになりきって松山城を観光していた。「変わった趣味の人がいるものだ。」と思っている私も、自転車でつぎはぎしながら日本一周をしている変わった趣味の持ち主であることに気がついた。人に迷惑をかけず、その人が楽しいのならOKではないか。そうそう。

 

 出発時間も遅かったことと、観光に時間をかけたため、そろそろ終了を意識しなくてはならない時間がやってきていた。もう少しだけ足を延ばして終わろうと思い、ちょっと急いで国道56号を進む。松山から先は大洲街道というらしい。10キロぐらい進んで伊予市に到着。今日は、ここまでとした。ロードバイクを分解し、輪行バックに入れ電車に乗った。16時27分。ここから松山まで各駅停車、そこで待ち時間があり、そこからは特急で今治へ。特急の中ではうとうととした。このうとうとがとても気持ちいい。
 今治に着いたのが18時。ここからサンライズ糸山まで5キロぐらいあるので、再びロードバイクを組み立て、真っ暗な中を進む。前回来たときに、反対方向に行った失敗を経験していたので、方向をしっかり確認してからスタートした。ライトはつけているのだが、真っ暗の中での運転はやはり見えにくくあまりスピードは出せない。暗い色の服を着た人は闇にまぎれていて、直前まで分からないということがあった。やはり夜の走行は昼の何倍も気をつけないといけない。

    

 帰りは小谷サービスエリアで夕食をとった。ここで好きなのは「たこ天」、今日はたこ天うどんを食べた。美味。
 柱のところに赤い物体が・・・これが、AEDだ。ここ2年心肺蘇生法の研修でも紹介されている電気ショックで心臓の機能を回復させる救急機器だ。救急時にはだれでも使用することができるように、音声案内もしてくれる。値段は1台30万ぐらいしたはずだ。

  

 行きは浜田から高速に入ったのだが、帰りは戸河内で降りた。驚いたことに、聖湖や191のスキー場あたりは道路にも雪がうっすらと積もっていた。ノーマルタイヤだったのであせってしまったが、超安全運転で乗り切った。外気温を見るとマイナス2度。さすが、標高800メートル。

 久々の『つぎはぎ日本一周』だったが、やっぱり面白い。次回はきっと来年の春かな?今度はどこだ〜?
走行距離 76.12キロ
平均速度  18.7キロ
最高速度  46.5キロ
費用 高速代 行き 浜田〜福山西 4100円
             西瀬戸尾道〜今治 4550円
         帰り  今治〜西瀬戸尾道4550円
             福山西〜戸河内 3100円
    子規記念博物館入館料  400円
    松山城 入城料       500円
    鉄道代  伊予〜今治  1750円

 




 今治〜松山〜伊予という67キロの『つぎはぎ日本一周』だった。今治まで行きが車で3時間半、帰りは予想外に、戸河内に雪が積もっていてのろのろ運転だったため4時間。出発地点が遠くなり『つぎはぎ日本一周』はかなりきついのはきついのだが、一歩一歩前進しているという実感が持てて楽しい。一種の病気?詳しくはまた。


走行距離 133.83キロ
平均速度  20.9キロ
最高速度  69.9キロ
費用 高速代 行き 浜田〜福山西 4100円
             西瀬戸尾道〜今治 4550円
         帰り  今治〜西瀬戸尾道4550円
             福山西〜戸河内 3100円
    子規記念博物館入館料  400円
    松山城 入城料       500円
    鉄道代  伊予〜今治  1750円